2011年 10月 08日
生活保護申請 |
福井市地域福祉課
先日、福井市に住むある高齢者の生活保護申請が認可された。
Aさんは71歳の男性。左官職人として働いていたが、年齢を重ねるにつれ仕事が少なくなり、この5月に心筋梗塞をわずらって入院したところ、わずかにあった仕事も入院中にすべて他の左官職人にとって代わられ、収入は月に数万円の年金だけになった。
幼少の頃に養子にでたことで実の親と別れ、さらに、養子先の家には年の離れたその家の実子がいたことから、けして将来を保障されたものではなかったようだ。
実はAさんは今年の春に生活保護の申請をするために福井市役所の地域福祉課を訪れていた。しかし、その時は担当者からいろいろ話を聞かれ、「少し待ってください。」といわれたのだが、かなり長くまたされたために、「やはり申請させてもらえないのか。」と諦めてその場を離れてしまった野田。
そのあとAさんは5月に入院し、退院したのだが、年金は入院費用に消え、退院時に処方された薬がなくなっても病院に行くことができないでいた。「また発作が起こったら」と不安に思ったAさんが知り合いに相談し、なにがなにやら回りまわって酔っ払いの出番となった。とにかく、病気の治療のためにAさんは生活保護を申請し、受給する必要がある。実の家族とも、養子先の家族とも連絡を取ることが不可能なAさんには生活保護の受給が生きていく唯一の手段だ。9月6日に相談を受けた酔っ払いはよく9月7日にAさんの同行者としてAさんの生活保護申請についていった。
生活保護申請の窓口である、福井市地域福祉課で担当者の話を聞き、対応を見ていた酔っ払いは、噂で聞いていたとはいえ、噂以上の担当者の仕事ぶりにあきれてものが言えなかった。
春にAさんの話を聞いていて、長く待たせて申請を諦めさせた担当者は、悪びれもせずに、「Aさん、どうしていなくなったのですか?今度いつ来るかとずっと待っていたんですよ。」と言う。話を聞いて、Aさんの生活がどうにも行き詰っていることを掴んでいる担当者は、けして自ら電話をしてみようとはしない。そして、あらためて生活保護の申請をしたいことを申し出ると、またあらためて、Aさんの家族のことや資産(軽自動車1台くらい)の状況などを聞き始めた。ここで酔っ払いが、前回とは違い、Aさんはいま、通院の必要があることを説明すると、生活保護受給の可能性が大きくなったことを感じた担当者はさらに細かくAさんから事情を聞き始めた。そして、あろうことか、「今度、アパートを見せてください。」、「その時にまた話をしましょう。」と言うではないか。「これではいけない」と酔っ払いが、「申請用紙をください。」、「今日は申請書を提出して帰ります。」と言うと、担当者は「アパートを見てから。」と言うので、「アパートは申請書を提出してからで良いのでは。」と突っ込むとようやく自分の机にもどり、申請書を持ってきた。申請書の記入も一つ一つ確認しながらの記入になり、大変時間がかかってしまった。普通の人なら、特に生活保護申請をする人に多く見られる高齢者や失業者は、借金など何かしら言いにくいことの1つも持っているもので、そんな人たちにとって、担当者の根堀葉堀の事情徴収と申請を先延ばしする嫌がらせに遭うと、途中であきらめてしまっても仕方がないだろう。
生活保護は申請書を提出後、2週間以内に結果を申請者に案内することになっている。調査など、事情がある場合は「1ヶ月以内に」となっているが、それは市役所側の事情だ。今回、2週間たってもなにも連絡がなかったのでAさんと一緒に市役所を訪れると、あいにく担当者は不在だったが、別の担当者が対応し、酔っ払いと期日を確認したところ、「2週間」とは言わず、「1ヶ月」で話をすすめようとした。しかも、その1ヵ月後は、「10月7日」と言い張るのだ。「1ヶ月後は10月6日ではないのか。」と酔っ払いの突っ込みは、当事者ではないからと無視をし、最初からAさんと一緒にいる酔っ払いに対して、このときとばかりに「あなたは誰ですか?」と聞く始末。
約束の10月7日も、市役所の業務が終了する間際の午後5時過ぎにやっとAさんに電話が入り、なんとか申請が許可されることになった。朝から携帯を肌身離さず持ち続け、電話を待っていた初老のAさんが、どんな思いで電話を待っていたのだろうか。
つい最近、生活保護受給者は全国で200万人を超えたと聞く。東日本大震災で申請が増えたこともあるそうだが、震災前から増え続ける傾向にあったと言う。大企業によって作り出された雇用不安と、それによって深まる不況、そして、最大の理由は貧困な社会保障制度だろう。
いまの日本の社会は、なにかにつけ「自己責任」が強調される。これは小泉さんの頃からかなり顕著になったように思うが、自民党から民主党に代わっても、「自己責任」だけは代わっていない。しかし、Aさんが幼少の頃に実の両親と分かれたことや、その他の人でも意に沿わない倒産や病気による失業など、「自己責任」では片付けられない事情も多くある。市役所の担当者は、生活保護申請者に対して、どうも「自己責任論」で対応しているようで、「生活できなくなったのは自分のせい。税金でたべさせてやるのだからありがたく思え。」と、口には出さないが、そんな態度がいろんなところで見受けられる。たとえ自己責任であっても、Aさんは生活保護を受給しなければ生きていくことはできない。家賃が滞り大家さんから督促されていることは9月7日に申請書を出した時点で担当者もわかっているはず。そのときに担当者から所持金を聞かれ、「150円」と応えたAさんを1ヶ月ギリギリまで待たせるのが、地域福祉課の担当者であり、福井市役所なのだ。お役所というのはどうも、「弱いものの見方」にはなってくれないところらしい。
先日、福井市に住むある高齢者の生活保護申請が認可された。
Aさんは71歳の男性。左官職人として働いていたが、年齢を重ねるにつれ仕事が少なくなり、この5月に心筋梗塞をわずらって入院したところ、わずかにあった仕事も入院中にすべて他の左官職人にとって代わられ、収入は月に数万円の年金だけになった。
幼少の頃に養子にでたことで実の親と別れ、さらに、養子先の家には年の離れたその家の実子がいたことから、けして将来を保障されたものではなかったようだ。
実はAさんは今年の春に生活保護の申請をするために福井市役所の地域福祉課を訪れていた。しかし、その時は担当者からいろいろ話を聞かれ、「少し待ってください。」といわれたのだが、かなり長くまたされたために、「やはり申請させてもらえないのか。」と諦めてその場を離れてしまった野田。
そのあとAさんは5月に入院し、退院したのだが、年金は入院費用に消え、退院時に処方された薬がなくなっても病院に行くことができないでいた。「また発作が起こったら」と不安に思ったAさんが知り合いに相談し、なにがなにやら回りまわって酔っ払いの出番となった。とにかく、病気の治療のためにAさんは生活保護を申請し、受給する必要がある。実の家族とも、養子先の家族とも連絡を取ることが不可能なAさんには生活保護の受給が生きていく唯一の手段だ。9月6日に相談を受けた酔っ払いはよく9月7日にAさんの同行者としてAさんの生活保護申請についていった。
生活保護申請の窓口である、福井市地域福祉課で担当者の話を聞き、対応を見ていた酔っ払いは、噂で聞いていたとはいえ、噂以上の担当者の仕事ぶりにあきれてものが言えなかった。
春にAさんの話を聞いていて、長く待たせて申請を諦めさせた担当者は、悪びれもせずに、「Aさん、どうしていなくなったのですか?今度いつ来るかとずっと待っていたんですよ。」と言う。話を聞いて、Aさんの生活がどうにも行き詰っていることを掴んでいる担当者は、けして自ら電話をしてみようとはしない。そして、あらためて生活保護の申請をしたいことを申し出ると、またあらためて、Aさんの家族のことや資産(軽自動車1台くらい)の状況などを聞き始めた。ここで酔っ払いが、前回とは違い、Aさんはいま、通院の必要があることを説明すると、生活保護受給の可能性が大きくなったことを感じた担当者はさらに細かくAさんから事情を聞き始めた。そして、あろうことか、「今度、アパートを見せてください。」、「その時にまた話をしましょう。」と言うではないか。「これではいけない」と酔っ払いが、「申請用紙をください。」、「今日は申請書を提出して帰ります。」と言うと、担当者は「アパートを見てから。」と言うので、「アパートは申請書を提出してからで良いのでは。」と突っ込むとようやく自分の机にもどり、申請書を持ってきた。申請書の記入も一つ一つ確認しながらの記入になり、大変時間がかかってしまった。普通の人なら、特に生活保護申請をする人に多く見られる高齢者や失業者は、借金など何かしら言いにくいことの1つも持っているもので、そんな人たちにとって、担当者の根堀葉堀の事情徴収と申請を先延ばしする嫌がらせに遭うと、途中であきらめてしまっても仕方がないだろう。
生活保護は申請書を提出後、2週間以内に結果を申請者に案内することになっている。調査など、事情がある場合は「1ヶ月以内に」となっているが、それは市役所側の事情だ。今回、2週間たってもなにも連絡がなかったのでAさんと一緒に市役所を訪れると、あいにく担当者は不在だったが、別の担当者が対応し、酔っ払いと期日を確認したところ、「2週間」とは言わず、「1ヶ月」で話をすすめようとした。しかも、その1ヵ月後は、「10月7日」と言い張るのだ。「1ヶ月後は10月6日ではないのか。」と酔っ払いの突っ込みは、当事者ではないからと無視をし、最初からAさんと一緒にいる酔っ払いに対して、このときとばかりに「あなたは誰ですか?」と聞く始末。
約束の10月7日も、市役所の業務が終了する間際の午後5時過ぎにやっとAさんに電話が入り、なんとか申請が許可されることになった。朝から携帯を肌身離さず持ち続け、電話を待っていた初老のAさんが、どんな思いで電話を待っていたのだろうか。
つい最近、生活保護受給者は全国で200万人を超えたと聞く。東日本大震災で申請が増えたこともあるそうだが、震災前から増え続ける傾向にあったと言う。大企業によって作り出された雇用不安と、それによって深まる不況、そして、最大の理由は貧困な社会保障制度だろう。
いまの日本の社会は、なにかにつけ「自己責任」が強調される。これは小泉さんの頃からかなり顕著になったように思うが、自民党から民主党に代わっても、「自己責任」だけは代わっていない。しかし、Aさんが幼少の頃に実の両親と分かれたことや、その他の人でも意に沿わない倒産や病気による失業など、「自己責任」では片付けられない事情も多くある。市役所の担当者は、生活保護申請者に対して、どうも「自己責任論」で対応しているようで、「生活できなくなったのは自分のせい。税金でたべさせてやるのだからありがたく思え。」と、口には出さないが、そんな態度がいろんなところで見受けられる。たとえ自己責任であっても、Aさんは生活保護を受給しなければ生きていくことはできない。家賃が滞り大家さんから督促されていることは9月7日に申請書を出した時点で担当者もわかっているはず。そのときに担当者から所持金を聞かれ、「150円」と応えたAさんを1ヶ月ギリギリまで待たせるのが、地域福祉課の担当者であり、福井市役所なのだ。お役所というのはどうも、「弱いものの見方」にはなってくれないところらしい。
by nskr32000
| 2011-10-08 19:46
| 福井の風景